犬のアレルギー治療:まとめ
主宰者からのメッセージ
一般に犬のアレルギー性皮膚疾患は1歳から3歳までの若齢で発症することが多く、病変部は背側ではなく主に腹側に集中します. 高齢で発症した背側正中線の皮膚に痒みや膿皮症があるケースでは,脂質代謝異常があり,人の胆汁鬱滞性肝障害に併発する皮膚の痒みと同じ病態が関与するのでは?と考えられるような症例が多くみとめられます. 獣医領域ではこの分野の研究者はみあたらず,多くの臨床医がその存在に気が付いていないのが現状です. 高齢で背側に発症した皮膚疾患をアトピー性皮膚炎と誤診をして,グルココルチコイドの全身投与に頼ったアレルギー治療に終始したり,推奨される適切な治療に至るまでの高額な検査や労力の無駄を投じたりすることを避けるためにも,臨床症状による国際的な診断基準(Favrotの診断基準2010)に沿った臨床診断を遵守することと,上記を念頭に除外診断に努めることが推奨されます.
犬のご家族に伝えるポイント
CADの治療は終わりのない戦いであり,ご家族の理解と協力なしでは成り立ちません.
治療に先立ち以下の3点をできるだけ簡略に伝え,十分な理解と協力を得ることが重要です.
担当獣医師は,最適な結果のために提案する治療の組み合わせによる有益性,副作用,コストと利便性を常に評価することを怠ってはいけません.
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アレルギー性疾患治療の目標は根治ではなく,現在の症状を50%以下に抑え,維持することにある。
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IgE検査によってアレルギーの診断はできないが,環境管理や食事管理に有用な情報を入手でき,その治療オプションを選択することができる。
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症状別に,より効果的な食事の見直し,シャンプー,日常の手入れ,投薬による治療等で改善が可能であるが,推奨される治療を選択中もその併用が必要である。
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